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コラム

母を訪ねて2300里。DNA調べました。

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1991年 アルプスで見つかった男性の凍結ミイラの遺体。
調べたところ、遺伝子が英国人の女性のものと一致しました。
さらに、彼は5千年前の遠い祖先だったことが判明し、この「アイスマン」に世界中が驚かされました。
何故女性の遺伝子なのか?
人間の細胞内の器官ミトコンドリアは母親の遺伝子だけが子に受け継がれます。
これを利用して分析すると、現代人の祖先は約20万年前にアフリカにいた一人の女性にさかのぼることがわかりました。

2002年 イギリス オックスフォード大学で自分のDNAを調べてもらいました。
世界中から集めた1万5千人のサンプルを分析すると、アフリカの女性の遺伝子を受け継ぐ35系列に分類できたそうです。
日本人は、このうち9系統に分かれます。
結果、その中のひとり「sachi」が自分の母親であることが判明しました。

「かって地球上にはメスしか存在していなかった。 しかし、地球環境の変化により、生物は多様な遺伝子を作り出そうとしました。
その結果、メスの遺伝子を掛け合わせる存在として作られたのがオスだった」というのが前回の話でした。
今回はその続きになります。
男性の性染色体はXY、女性はXX。1億6600万年前くらいに成立したシステムです。
XとYがあることで、確率50%で男女が生まれるようになりました。
その頃には、男性のY染色体も1000ほどの遺伝子を持っていて、X染色体と同じ大きさだったそうです。
しかし、現在の男性のYの遺伝子は90%減少しわずか78しか残っていないそうです。
女性の場合2対あるX染色体と異なり、男性のY染色体はペアがないため、エラーや突然変異によってガラクタになってしまった部分がなくなっていき、小さくなったと考えられるそうです。
男性のY染色体は遅くとも500万年から600万年後にはなくなるといわれています。
ほ乳類の胎盤は、精子の中に含まれる遺伝子の命令で作られます。
卵生の生物は外的や環境の問題があり、卵に入れられる養分には限界があります。
一方、ヒトを含むほ乳類の子供には胎盤が必要なため、人間を含むほ乳類は男がいないと子供ができません。
「Y染色体の退化」という時限爆弾と共に、ヒトを含む現代のほ乳類の存在があります。

そして、人間の男の精子の質が悪くなってきている言われて久しい現代。
一般的に、精子の85%に異常があるともいわれています。
ちゃんとした泳ぎができるものもわずか30%から40%。
また、人間の精子の濃度は思いのほか低い。ヨーロッパ4カ国で精子の濃度を調べたところ、デンマークが最低。
日本人もデンマーク並みの低さだそうです。
かたや 同じ霊長類でもチンパンジーは乱婚のため、精子同士の競争が激しく、健康な精子が生き残ってきました。
質の高い精子を選び取って次世代につなぐ仕組みがありました。
しかし、ヒトは乱婚ではなく一夫一妻制で子供を育てるため、精子同士の競争が必要ありませんでした。
ヒトは夫婦によって子供を育てることを選びました。
しかし、事態は研究者の想像を超えて悪化しているそうです。
フィンランドでは、この5年間で急速に精子の濃度が27%も減少しました。
これは遺伝的要因ではなく、公害、化学物質、タバコ、電磁波などが原因として指摘されていますが、確証はありません。
多くの国では自然な妊娠が難しくなると危惧されています。
そこで注目されているのが生殖技術です。
当初は体外のシャーレで受精させる技術。次いで、例え泳げなくても、たった1個の精子があれば卵子に注入するという技術も使用されています。
デンマークでは、生まれる子供の14%はすでに生殖技術に頼っています。
しかし、生殖医療を規制しようというイタリアのような国もあります。生殖医療が家族を壊すとするバチカンの意向が反映されています。

アメリカでは、子作りに男性は必要ないという女性が増えています。
それは精子バンクを利用した体外受精。
テクノロジーが提示した、カップルでなくともシングルマザーでも、同性カップルでも子供を産み育てるという選択肢。
精子バンクでは、パイロット、医者、外見、性格の特徴、身長、髪の色、えくぼの有無など、さまざまな条件で精子を選ぶことができるそうです。
やがて消え行く男のために、テクノロジーを使用すべきか否か。
人類は受精卵を作る技術を確立すべきなのでしょうか。
とりあえず男は、500万年くらいで滅亡の様相です。

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